クライアントからいただいた要望は、「名のない家具を置いても、それが素敵な家具に見えるような空間にしたい」というものでした。
そこで目指したのは、装飾による美しさではなく、空間そのものが美しさを宿す建築です。
柱を設けず、屋根と基礎だけで構成したシンプルな構造に、躯体を仕上げとしてそのまま見せることで、素材のもつ素直な表情を引き出しました。
作業用の机やキッチンは基礎と一体の造りとし、存在感を保ちながらも空間に自然と溶け込むように計画。
黒皮鉄板でつくった照明器具や、自然の石をそのまま用いたシャワールームなど、全体的に素材そのものが主役となるデザインを心がけています。
高い天井を活かしたランダムな照明計画は、夜になると柔らかな光を散らし、まるで星空の下で過ごしているかのような心地よさをもたらします。

大崎のアトリエ(オオサキノアトリエ) / atelier_ID(アトリエアイディ)
敷地面積:259坪
延床面積:13坪
設計期間:2020/01~2020/11
施工期間:2020/12~2021/05
設計/施工:空間建築-傳


物流事業をはじめ、人材派遣、書籍保管など多岐にわたる業務を展開する企業の本社建て替え計画。
建物は木造トラス工法により、約70坪の事務所と約60坪の倉庫(無柱)で構成されています。
外壁材は、「汚れを防ぐ」のではなく、時を重ねるごとに味わいが増していく素材を選択。一枚一枚が異なる表情を持つ外装材は、汚れすら建物の魅力として取り込むという、経年変化を楽しむ発想に基づいています。
事務所の天井には木毛セメント板を使用。視覚的に落ち着いた印象を与えるだけでなく、吸音材としても機能し、スタッフが快適に働ける環境づくりに貢献しています。また、来客を迎える応接室には、帯鋸目加工を施したオーク材を壁面に採用し、素材の質感を活かした温もりある空間に仕上げました。
様々な素材を用いながらも、建物全体が雑多な印象にならないよう、形状やディテールは極力シンプルにまとめることを意識。素材の持つ力を引き出しながら、企業の多様な活動を支える、機能的かつオリジナリティのある新社屋となることを目指しました。

問屋町の社屋(トンヤチョウノシャオク)
敷地面積:497坪
延床面積:131坪
設計期間:2024/02~2024/10
施工期間:2024/11~2025/06
設計/施工:空間建築-傳

ARCHITECTURAL DESIGN AWARD 2025 特別賞受賞


同じ市内で長年営業してきた美容院の新築移転計画。移転先は住宅街の一角に位置しています。
一般的に美容院では、開放感や視認性を高めるために外壁に大きな開口部を設けることが多いですが、通りに対して過度な開口部を設けることは、近隣にお住まいの方や、髪を切りに訪れる方にとって落ち着きを損なう可能性があるため、今回はあえて外部の開口部を最小限に抑えた設計としました。
一方で、店内が暗くならないように複数の天窓を設置し、上部から柔らかい自然光が差し込む、心地よい空間となるよう計画しています。
内外装はグレーを基調とした落ち着いたトーンで統一し、静かにリラックスできる雰囲気を目指しました。

GRACIOUS(グレイシャス)
敷地面積:34坪
延床面積:24坪
設計期間:2024/03~2024/10
施工期間:2024/11~2025/04
設計/施工:空間建築-傳


元々バーとして利用されていた建物を、美容院へとリノベーションしたプロジェクトです。天井や床はあえて仕上げを施さず、建物がもともと持っていた素材感や空間のポテンシャルを最大限に引き出すことを、設計の基本方針としました。
限られた条件の中でさらに条件を絞り込み、シンプルかつ明快な思考で空間を計画することで、無駄を削ぎ落とした美しい空間を構成しています。新しい用途でありながらも建物本来の個性を失わない、美しくも力強いデザインとなりました。

yau(ヤウ)
敷地面積:-坪
延床面積:22坪
設計期間:2024/03~2024/06
施工期間:2024/06~2024/09
設計/施工:空間建築-傳


原寸の振り袖を約四分の一サイズに縮小して制作する、ミニ振り袖の作家さんのための制作や思索の場として計画しました。
伝統的な着物を題材とすることから、和の空間を求められるかと想定していましたが、クライアントが求めていたのは「シンプルでモダンな空間」。そこで、建物は余計な装飾を排し箱型の構成としました。
素材選定では新建材も検討しましたが、モダンな佇まいの中にも、日本的な記憶や手仕事の空気感を漂わせたいと考え、外壁に焼杉板を提案。表面の炭化層が持つ独特のざらつきや深みのある黒が、シンプルなフォルムに豊かな表情を与えてくれます。
内部は、白を基調としたシンプルな空間構成とし、制作のための機能性を確保しながら、作品を引き立てる余白を意識しました。
現代的でありながら、どこか懐かしさも感じさせるこの空間は、ミニ振り袖という繊細で美しい作品づくりに、静かに寄り添います。

atelier.k(アトリエケイ)
敷地面積:-坪
延床面積:8坪
設計期間:2023/03~2023/09
施工期間:2023/10~2024/03
設計/施工:空間建築-傳


ご夫婦共に美容師のクライアント。今回の建物は自宅兼仕事場となるため、住宅の生活感が外に出ない間取りを希望されていました。
そこで2階の住宅部分には、住まい手の気配が外に漏れないよう、壁の内側に中庭や坪庭を設けたバルコニーを配置。外周に開口部がなくても、採光や通風を確保できるようにしました。
美容室部分は、カット台とシャンプー台が同じ空間にある完全個室を2部屋設け、それぞれ趣の異なる坪庭を設けています。
数年後には樹木が成長し、より素敵な空間になる予定です。

Hair house Bob(ヘアハウスボブ)
敷地面積:74坪
延床面積:50坪
設計期間:2020/08~2021/08
施工期間:2021/09~2022/03
設計/施工:空間建築-傳


鉄骨2階建ての建物のリノベーションです。かつては物置として使われ、長い時間を静かに過ごしてきたこの建物に、新たな役割と価値を与えることを目指しました。
既存の構造は魅力を残すためにあえて露出させ、建物の骨格をデザインの一部として活かしました。一方で、1階と2階では仕上げに用いる素材を変え、階ごとに異なる表情の空間となるよう計画しています。
かつて物置として放置されていた建物が、鉄骨の力強さを取り入れつつ、趣味を楽しむ大人の空間へと生まれ変わりました。鉄骨造リノベーションならではの魅力を感じられる建物です。

前田のアトリエ(マエダノアトリエ)
設計期間:2020/11~2021/08
施工期間:2021/09~2021/12
設計/施工:空間建築-傳


趣味で陶芸を楽しむクライアントのためのアトリエ計画です。
敷地は隣接してアパートや会社の倉庫があり、人の出入りが多い環境であったため、周囲の視線を気にせず作業に没頭できるよう、中庭型のプランを提案しました。
当初はアトリエ単体での計画でしたが、ご自宅に多くの作品が飾られている様子を拝見し、アトリエに加えてギャラリー棟を併設した2棟構成を提案したところ、ご賛同いただき、この構成をベースに計画を進めています。
陶芸のための空間であることから、内装はラフに使える素材を中心に構成し、使い込むほどに味わいが増す設えとしています。
制作に集中できる環境を重視しつつも、中庭やギャラリーを介して建物全体に広がりを持たせ、心地よい時間を過ごせる場となるよう計画しました。

篠束のアトリエ(シノヅカノアトリエ)
敷地面積:187坪
延床面積:32坪
設計期間:2020/08~2021/02
施工期間:2021/03~2021/08
設計/施工:空間建築-傳


車やバイクを愛するオーナー、そして英国の名車Velocetteのために設計されたこのガレージです。
Velocetteの持つ伝統とクラフトマンシップに敬意を払いながら、現代的な美意識で再解釈されたこのガレージは、「保管する場所」ではなく「物語を育てる場所」。ここで過ごす時間そのものが、愛車との関係をより深く、豊かなものへと変えていきます。
コーヒーを片手にマシンを眺めるひととき、エンジンの鼓動に耳を澄ます時間――そのすべてが、この空間の中で完結します。

前田のガレージ(マエダノガレージ)
敷地面積:65坪
延床面積:18坪
設計期間:2019/09~2020/02
施工期間:2020/03~2020/06
設計/施工:空間建築-傳


歴史ある町の一角で、既存の住宅を飲食店へとリノベーションしたプロジェクトです。
この建物はもともと住宅として使われており、その歴史と構造が持つポテンシャルを引き出すことが、空間の魅力を最大化する鍵だと考えました。
計画の段階では、できるだけ手を加えずに建物本来の個性を活かすことを意識しましたが、一見簡単そうに見えて非常に難しい作業でもありました。苦労はしましたが、建物の魅力を引き出しつつ、町の景観になじむ「古くて新しい」空間をつくることができたのではないかと思います。

RIVET(リベット)
敷地面積:62坪
延床面積:49坪
設計期間:2017/11~2018/06
施工期間:2018/07~2019/04
設計/施工:空間建築-傳


CATEGORY

ARCHIVES